旧・無印吉澤

昔はてなダイアリーに書いていた記事のアーカイブです

ビジネスという現実に直面したP2P(アリエル・ネットワーク株式会社 岩田氏)

▼勉強会告知での紹介文

ファイル交換で一躍名を馳せたP2Pだが、いまだにビジネス分野での課題は多い。コラボレーションソフトAirOneの展開の中で遭遇した問題点とその解決策を元に、改めてP2Pのテクニカルな特徴・特性をビジネス分野との親和性の観点から解説する。

▼関連サイト

▼講演内容補足

  • 講演に先駆けて
    P2Pのテクノロジはそこそこ枯れてきているので、そろそろ汚名返上して「(P2Pは)本当に使えるんだ」ということを訴えたい。
  • 「gap1:確実性」のpeek取得
    • エアワンではデータの実態をDoc、そのDocのポインタのリストのことをIndexと呼んでいる。peek機能とは、自分の欲しい情報Docがあるノードにアクセスしたときに、そこのIndexに紐付いているDocを全て取ってくる機能のこと。
    • 「自分の欲しい情報を持つノードには、他にも自分の欲しい情報が存在している可能性が高い」という、ソーシャル的なアプローチを行うための機能。
  • [参考]アリエルプロジェクトA企業版、の詳細についてはアリエルのサイトから資料請求可能なホワイトペーパを参照。
  • 「gap3:セキュリティ」
    • ローカルにデータをバックアップすることについては、大企業のシステム部門に行くと常に指摘される(ノートPCを置き忘れたらどうなる?という問題)。
    • この問題はオフラインでのデータ利用とのトレードオフ。Ariel Frameworkでは期限付きの証明書の更新間隔を短くすれば管理は厳密に出来るが、その分オフラインでのデータ利用はしにくくなる。
  • 導入担当者以外もシステムの理解が必要
    • Web型のグループウェアでは、システムの導入者がそのまま他のユーザに対するサポート担当者になることが多い。
    • 一方、P2P型のグループウェアではサーバが存在しないために、導入担当者がシステムの中心的な人物になりづらく、Web型のグループウェアに比べてシステムの開発元(=アリエル)へのサポート問い合わせが増えた。(24hオンラインのフォールバックノード導入前の話)
  • 最後に
    こうしてみると当たり前のことが多いが、僕らはその当たり前のことに苦労してきた。
    P2Pの研究をされている方はそのまま突き進んで欲しいが、P2Pをビジネスに展開しようと思っている方は一歩引いてクールにP2P技術を見て、ユーザをハッピーにするために本当に効くところにP2P技術を適用する、という視点が必要。

▼質疑応答

  • C)(P2Pで儲かった人はいなかったという話に対して)メディアやドライブのメーカ、WinMXWinnyでの不正行為を煽った出版社など、P2P技術の周辺で儲かった人達はいる。
  • Q)4つのgapの中で、一番大変だったものは?
  • A)エンドユーザーのスキル。
    非常に技術志向でしかも偏りのがある開発体制だったため、エンドユーザーのスキルレベルを軽視しているところがあった。
  • Q)研究で開発したP2Pソフトを社内で導入したいと考えているが、社内の管理部門とどう交渉したら良いか?
  • A)試用期間を設けて事前にトラフィックの推移を計測するなどして、その結果を示すしかない。
  • Q)(C/Sで出来ることはP2Pでやっても意味がない、という話の関連)Web型グループウェアに比較して、P2Pの利点はどこにある?
  • A)イントラ内だけの利用では、あまり意味はないかもしれない。アリエルでは、ASPなどのサービスを利用せずとも拠点間・企業間の通信を実現できる、というメリットにフォーカスしている。
  • Q)P2Pグループウェアを実現したことによるメリットは?
  • A)
    • オフラインでの利用(ネットワーク状況が悪いときにも予定が見られる)
    • 企業間接続(一番売りにしたい点。Webグループウェアの場合だと、どこにサーバを置くかが問題になる)
    • サーバ管理者が不要(会社によってはサーバ管理者が居ない)