旧・無印吉澤

昔はてなダイアリーに書いていた記事のアーカイブです

「ネットの未来」探検ガイド―時間と言葉の壁を超える

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4007000999/

「インターネットの最前線を、楽しみながら体験する案内書」と背表紙にあるように、この本のメインは、一般のユーザでも今すぐ簡単に利用できるインターネット上のサービス紹介です。

キーワードはGoogleRSSリーダセマンティックウェブインターネットアーカイブ機械翻訳P2P、分散コンピューティング、グリッドなど。話題がかなり多岐に渡っていますが、これらの技術の背景や現在の問題点(現行法との関係など)についても詳しく触れているため、内容が薄く感じるようなことはありません。個人的には、どういうサービスかは知っている&使ったことがあるけれど背景についてはあまり知らない、というものが多かったので勉強になりました。

知らなかった話の例を1つ挙げると……例えば、米アレクサ社のインターネットアーカイブと、インターネットアーカイブが技術協力しているアメリカ議会図書館のウェブ・アーカイブ保存プロジェクト「ミネルヴァ」の関係の話がありました。要約すると次のような感じです。

  • インターネットアーカイブのような民間の組織は、少人数による決定に基づいて柔軟に行動することができるけれども、特定の方向性を保ったまま長期間活動し続けるのは難しいのが欠点。
  • その一方、議会図書館のような国の組織ならば安定した活動が可能なものの、著作権やプライバシーを侵害するような危険は犯せないという欠点がある。
  • そのため、インターネットアーカイブがその手の危険を先に引き受けることで、公的な組織である議会図書館の活動範囲(ミネルヴァのアーカイブ対象範囲)も徐々に拡大していける……というのが両者の関係。

他の技術についてもこのような解説があり、最後まで楽しめます。比較的おすすめ。