旧・無印吉澤

昔はてなダイアリーに書いていた記事のアーカイブです

「バイラル・チャレンジ!」結果の受け止め方

「バイラル・チャレンジ!」 結果発表!(NETARC,Inc.)
http://www.netarc.jp/viral-challenge/viral-event-result.html

以前紹介したバイラル・チャレンジの結果が6日に公開されました。その後、ニュースサイトでもちらほら取り上げられていたようです。

ネット上のファイル伝播能力コンテストで、WebサイトがP2Pに圧勝?(INTERNET Watch)
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/10/08/4925.html

P2Pとブログ、ファイル伝達能力が高いのはどっち?(ITmedia)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0410/08/news028.html

まずは、前回のアンケートではご協力頂きありがとうございました。ちなみに、ここのサイトからリンクしていたP2P todayの人のファイルは1〜3位には入っていませんが、本人曰く「3位までしか発表されていないので、私の正確な順位はわかりませんが、たぶん6〜10位くらいだと思います。」とのことです。

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しかし、以前の日記では見当違いのことを書いてしまいましたけど、後から冷静に考えてみると、今回のコンテストの条件では「Web(Webサイト+ブログ)がP2Pに圧勝する」という結果になるのは当然に思えます。

その理由の一つは、一般ユーザが利用するインターネット用インタフェイスとして一番普及しているのがWebブラウザだ、ということです。Windows PCを購入すればInternet Explorerが必ず付いてくるのに比べれば、P2Pファイル交換ソフト*1はわざわざ使い方を勉強してインストールしないと使えないので、普及率はずっと劣るでしょう。

そう考えるとメールもWebと同じくらい普及しているのですが、以前の日記で考えたようにメールでばらまいた人はほとんど居なかったようです(アンケート結果ではメール4%)。やはりメールでいきなりファイルを送りつけるのはマナー違反という意識が強いのでしょうし、そもそもメールで伝えるにしても、そのファイルが公開されているWebサイトのURLだけ送れば済みますしね……。

そしてもう一つの理由には、今回のコンテストで配布するよう指示されたファイルの特性があります。そもそも、P2Pソフトウェアが有効なケースには以下のようなものがあります。

  • 配布する対象に人気があって極端なアクセス集中を招く場合は、P2P CDNソフトウェアが有効(例:日本ブレイク工業のサイトのwmaファイルにアクセス集中)
  • ファイルサイズが大きい場合は、分割ダウンロード機能のあるP2Pソフトウェアが有効(例:BitTorrentFedoraのイメージファイルを配布)
  • 個々のユーザが興味を持つファイルが異なっていて、複数のファイルを共有する場合もP2Pソフトウェアが有効(例:だからWinMXはやめられない、の世界。ファイルに違法性がなければWebで公開すればいいじゃないか!という話なので、実は「ファイルサイズが大きい場合」の延長)

しかし、今回のコンテストでは配布する対象が「人気がなく、ファイルサイズが小さい、単一のファイル」だったため、Webブラウザが一番普及しているという第一の理由によって、Web以外の配布方法を選択するメリットは何も無かったわけです。ちなみに、手元にあるMYST.NO1_[comment]_ES4DG.wmaのファイルサイズは3.75MBです。

一方、P2Pを利用したコンテンツ配信では、先達としてNTTコミュニケーションズのNetLeaderを利用した松竹の「わざアリ」がありますが、そちらは配布したファイルのサイズが30MB以上あったので積極的にP2Pソフトウェアでの配布が行われたようです(参考:【合法】ファイル交換は広まるか? 〜「わざアリ」その後(ITmedia))。

以上のような理由で、今回のバイラル・チャレンジ!は「誰が一位になるか」という点では平等でしたが、そこから「どんな結果が導き出されるか」という点では出来レースだったと言っていいのではないでしょうか。

本コンテストでのファイル入手場所は、70%強がウェブサイトから、 P2Pの利用は約3%となりました。今回のようなインディーズや 新人アーティストのプロモーションには、WebやBlogなどの活用が効果と言えるでしょう。今後もWeb、Blog、P2Pなどインターネット上のメディアの活用がより促進されていくでしょう。(「バイラル・チャレンジ!」 結果発表! より)

個人的には、この恣意的な結果が今後どうやって二次利用されるかに注目しています。

*1:ネットアークはWinMXを推奨していたらしいので、ここで言うP2Pファイル交換ソフトWinMXのことと考えていいかと(参照:ネットアーク、P2Pやブログのコンテンツ伝播能力を競うコンテスト