米カスピアンネットワークス、P2Pトラフィックを制御する新ソフト「SW−P2PC−LIC」を発表(日経プレスリリース)
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=81737
P2P todayより。CacheLogicのP2P帯域制御装置との提携を発表するニュースが以前にありましたが*1、恐らくそれと関連するプレスリリースですね。
ただ、このニュースを読んだときにも疑問に思ったのですが、ApeiroとCacheLogicの間では一体どんな連携をするんでしょうか? Apeiroのトラフィック解析結果を元にファイアウォールやIDSを制御するなら分かるんですが、元々レイヤ7まで監視するP2P帯域制御装置と連携するメリットって何なのでしょう。Apeiroから見て怪しげなトラフィックだけ、P2P帯域制御の方へ渡すような処理なのかなぁ……。
話は変わって、このプレスリリースの中では以下の文面が気になりました。
これにより通信事業者は、より多くのユーザを既存ネットワーク上でサポートしながら、ネットワーク・コストの削減やトリプルプレイ・サービス(注2)などの新しいサービスを提供することが可能です。欧米で急速に普及しているインターネット電話「Skype」など、日々新しく登場するP2Pアプリケーションは今後も進化を続け、ネットワークのコストや通信事業者の利益に影響を与えます。通信事業者は、最小限のコストでP2Pトラフィックはもちろん、例えばSkypeもサポートし、それらを新たな収益源に変えることができます。
この文面の意図は、英語のプレスリリースの方を読んでもよくわからなかったのですが……恐らくこの背景にはSkypeと、ISPの提供するIP電話が対立する構図が想定されているのでしょう。
しかしこの両者を比較すると……「設備投資がほとんど必要なく、SkypeOutのようなプレミアムサービスで多少儲けられればビジネスが回るSkype」と、その一方で「他者と差別化されないために(モデム含む)設備投資をして無料のIP電話を提供しているが、IP電話では儲からないISP」という状況に見えます*2。もしもこの見方が正しいなら、SkypeとISPのIP電話は対立するような関係にはないわけで、結果としてこういう帯域制御装置でSkypeを制限したところでISPには何のメリットもない、とも言えることになります。それどころか、逆に帯域制御装置を購入しただけISPの損になってしまう、という気がするのですが……。
まぁ、上記の比較はあくまで僕の個人的な推測なので、実際のところはSkypeがISPの利益を食う構造になってるのかもしれませんけどね。
*1:参考:通信事業者向けのP2Pトラフィック検知・制御ソリューション(Enterprise Watch)
*2:少なくとも日本では。海外の事情はどうなっているのか、ちょっとわかりません……。