旧・無印吉澤

昔はてなダイアリーに書いていた記事のアーカイブです

形式張らない書評の書き方って?(結論ナシ)

最近、巡回先のサイトで面白そうな本がオススメされてるとAmazonでほいほい買うようになって、漫画や小説以外の読書量も多少増えてきました。

で、その延長として、ここの日記のネタに書評*1も取り入れることにしたのですが、他人の面白い書評を読んでも、自分で書評をいくつか書いてみても、どうにも「面白い書評の書き方」がよくわかりません……。こういうウェブサイトで読んでもらうような形式張らない書評って、一体どう書いたら面白くなるんでしょうか?

まず、「サイトで書評を書く」ということの目標は何なのかを整理してみます。主に自分を振り返って考えてみましたが、大体以下のような感じになるのではないでしょうか。

  • 読んだ本の面白いorダメな部分を、自分と同じようなことに興味のある人に紹介したい。
  • 自分で読み返して内容を思い出せるように、著者の主張の要点を記録したい。
  • その本を読んで自分が「どう感じたか」も記録したい。これは、閲覧者に自分の考えを紹介するだけではなく、後で自分の過去の考えを振り返るためでもある*2

こう考えると、雑誌に掲載されるような一般の書評と違う点は「閲覧者からのフィードバックをある程度期待している」「個人的な備忘録としての側面を持つ」というあたりになりそうです。

そこで、こういう「一般の人が、自分と少人数の他人のために面白い書評を書く」方法について説明した本やサイトを探してみたのですが……なかなか無いですね、そんなの。「アフィリエイトで稼ぐためにブログで書評を書く」ような話ならあるんですけど(笑)。そもそも、一般の書評の書き方に触れた文章すらあまり見つかりません。そんな中で、社会学者の野村一夫氏という方のサイトに掲載されている「社会学の作法・初級編」の中の文章は、一般の書評の書き方として参考になりそうでした。

社会学の作法・初級編【改訂版】 五 レポートの作法――どう書くか(Socius ソキウス)
http://www.socius.jp/manner/05.html

書評とは、(1)本の紹介をし、(2)その重要な論点を整理して、(3)各論点について自分なりに考察することである。したがって書評レポートのアウトライン・フォーマットもだいたいこの三部構成になる。

(1)本の紹介--著者はこの本で(a)何について(テーマ)(b)どのようなアプローチで(方法・着想)(c)いかなる主張や結論をだしているか。目次を眺めながら、思いきりよくまとめる。

(2)論点の提示--著者にとって重要な論点と、自分にとって重要と思われる論点を明確に提示する。あわせて三点程度に集約させるのが無難。「第一に」「第二に」とパラグラフ(段落)を分ける。

(3)考察--各論点について論評する。これは各論点を提示した直後にそれぞれ論評してもよいし、あとでまとめて論評してもかまわない。論点によっては、さしてコメントすることもないものもあるだろうから、そういうものについては丹念に要約しておけばよい。ただし一点ぐらいは若干のこだわりをもって議論してみよう。

この後には更に(1)本の読み方、(2)チェックの入れ方、(3)論点のつくり方、(4)要約の仕方、(5)引用のあつかい、(6)論評の仕方、のそれぞれについてコツが書かれています。

他のサイトで、もう少しくだけた形で書評の書き方について触れている文章には、向後千春氏(id:kogo)の以下の日記がありました(ちなみに、著作 in Amazon。「きょうから日記を書いてみよう」のシリーズは面白そうです)。

書評の書き方(ちはるの多次元尺度構成法(日記))
http://chiharu.cside4.jp/mds/1998/10/12.html

書評の書き方を習っていないので自分で整理してみることにする。書評には次の要素が含まれていることが必要だろう。

  1. その本の背景・ニーズとねらい
  2. その本の主張の要約、特徴的なトピック例
  3. その本の主張の妥当性、信頼性
  4. その本の価値、不足部分、考えられる展開(リクエスト)

1.と2.については評者は客観的にその本の内容をまとめ、紹介しなくてはいけない。ここでは我を出すよりも、書評を読む人へのサービスを考える。

3.と4.については、評者の主観と価値判断が入ってくる。書評に取り上げる時点で、その本は広く読まれるべきであるという判断がなされているわけだから、ここでは評者の独自の判断を展開することが許される。

これは、一般の書評の書き方です。そこで、比較のために、この方の日記にある「本の感想」(形式張らない書評)の中で僕が読んだことのある本を探してみました。

2001年6月18日(月):『臨機応答・変問自在』
http://chiharu.cside4.jp/mds/2001/06/index.html#18

この感想は、書評に含まれる要素の中の1.と2.だけで構成されていますが、十分に本の紹介になっているのが分かります。その下にある19日の日記は、2.に自分の感想を加えた形でしょうか……。やはり、一般の書評の書き方はあまり参考にならないような気もしてきました。

うーん。もうちょっと勉強します。

*1:一応、閲覧者に本を紹介する意図があるので、感想文とは呼ばずに書評と呼ぶことにします。【書評】主に新刊の書物の内容を紹介・批評すること。また、その文章。(三省堂提供「大辞林 第二版」より)

*2:昔自分がどんなことを考えてたかなんて、記憶の中では簡単に改竄されてしまいますから……。逆に、改竄できないからネット上に公開するのは危険、とも言えるんですけど。